酸化マグネシウム

酸化マグネシウム(さんかマグネシウム、magnesium oxide)はマグネシウムの酸化物で、化学式MgOの化合物。白色または灰色の固体。マグネシア乳(milk of magnesia)、カマ、カマグとも呼ばれる。

製法

  • 金属マグネシウムを燃焼させると生成する。
  • 水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを加熱分解すると生成する。
  • 高温でホウ酸塩と酸化マグネシウムを融解したものを徐冷すると立方体の結晶が析出する。

性質

融点 2800 °C(3037.15K)、沸点 3600 °C(3873.15K)、密度3.65 g/cm3、水に難溶。塩化ナトリウム型の立方晶構造(Fm3m)を有する。その格子定数はa = 4.203 Åである。
水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを600 °C程度の低温で焼成してつくったものは、水と反応して水酸化マグネシウムを生じ、二酸化炭素および水を吸収して塩基性炭酸マグネシウム、酸およびアンモニウム塩水溶液に容易く溶けてマグネシウム塩を生成する。しかし1000 °C以上の高温で加熱されたものはより密度が高く、安定となり酸に容易には溶解しない。
医薬品として使用されており、胃粘膜を刺激する過剰な胃酸を中和し、胃・十二指腸潰瘍や胃炎にともなう症状を改善する。瀉下薬として優秀な効果を発揮する。腸管内で水分の吸収を高める役割を持ち、その結果、大腸の蠕動運動を助け、排便を促す。腸管を直接刺激する薬ではない。


副作用

腎不全患者での高マグネシウム血症(不整脈や呼吸抑制が起こる)。高齢者の死亡例が報告されている。下痢。


使用上の注意

大量の牛乳やカルシウム製剤と併用すると、血中のカルシウム濃度が高まり、血液がアルカリ性に傾く(アルカローシス)ことがあるので、服薬中はそれらの摂取に注意し、定期的な血液検査が必要になる。


反応

二酸化炭素や水をマグネシウムと反応させると、それらが還元されてそれぞれ炭素や水素が生じ、マグネシウムは酸化マグネシウムとなる。
また、希塩酸に溶かしたとき、マグネシウム(銀灰色)は溶けて水素を発生するが、酸化マグネシウム(白色)は水素を発生しない。

^「酸化マグネシウム」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年7月8日 (木) 03:56 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org