滑石

滑石(かっせき、英: talc、タルク)は、珪酸塩鉱物の一種でフィロケイ酸塩鉱物に分類される鉱物。あるいはこの鉱物を主成分とする岩石の名称。別名としてフレンチチョーク、ステアタイト、ソープストーンなどがある。

滑石(鉱物)

滑石は、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種である。
色は一般に白で、ろうそくの蝋や真珠のような光沢を持っているために、これを主成分とする岩石(後述)はろう石と呼ばれることもある。微細な薄片状の結晶が集合し、固まっている産状を呈することが多く、大きな単結晶状態で産出することはまれである。不純物により灰色や緑色をしたものもある。
滑石はモース硬度1の基準となる標準物質で、鉱物の中で最も軟らかいものの一つである。爪で傷つけることもできる(爪の硬度は2.5度)。純粋なものは安定した硬度を示すが、不純物が含まれる場合は硬度が高くなる。


用途

  • 食品添加剤としては、既存添加剤、製造用剤に分類される。欧州連合(EU)内の食品添加物分類番号であるE番号では「553b」が割り当てられている。
  • チョーク:黒板用、裁縫の時に使うチャコ、工事現場などでのマーキング用、熱で消えないため溶接や製鉄の現場で使用されている 。
  • 社会科や図画工作などで勾玉づくりの教材にも利用されている。
  • その他の用途としては、玩具、ベビーパウダーなど化粧品類、医薬品、上質紙の混ぜ物などがある。ベビーパウダーをタルカムパウダーと呼ぶ事があるのは、滑石の英語名 talc に由来する。滑石は、品質により含有量は大きく変わるが、不純物としてアスベストを含有して中皮腫を誘発することがある[5]ため、不用意に吸入したりすることのないよう注意が必要である。一般的には北イタリア産のものがアスベストの混入が少ない上質とされている。
  • 利尿作用、消炎作用があるとされ、中国では硬滑石の名で用いられる。一方、猪苓湯(ちょれいとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などの漢方薬に配合されるのは、ハロイサイト(英語版)、カオリンなどからなる軟滑石である。第十六改正日本薬局方には「カッセキ」の項に「本品は鉱物学上の滑石とは異なる.」と記載されている。
  • 悪性胸水患者に対する胸膜癒着術に用いられる。日本における製品名は「ユニタルク®」(製造販売: ノーベルファーマ)。

滑石(岩石)

滑石は、輝石、角閃石、カンラン石といったマグネシウムのケイ酸塩を主成分とする鉱物から成る岩石が熱水変成して生じる変成岩であり、前述の鉱物を主成分とし、他の鉱物と混ざった状態で産出することが多い。

^「滑石」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年7月19日 (月) 05:35 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org